第22話「A姉妹」  百物語2012本編

語り:米屋 ◆YZbG3mcRGI
71 :代理投稿 ◆ztxSLaq9Ok :2012/08/18(土) 22:29:26.95 ID:YriqamUu0
米屋 ◆YZbG3mcRGI  『A姉妹』

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思い返せば、あれは心霊体験?という話。

小学生のころ近所に仲良しの幼なじみA姉弟が住んでた。

学校から帰るとすぐ、A家に寄って、姉弟と私の三人で公園へ行くのが日課だった。

A姉弟は、ごく普通の子供。
雨の日なんかはA家の中で遊んだりしたけど、それがすごく嫌だった。

なぜなら毎回ナゾの女が来るから。そしてその女が大嫌いだったから。

まず玄関がノックされる。
A弟の声で「お姉ちゃん開けて」と言う。

それはA弟ではないので開けてはいけない。
暫くほっといたらいなくなる。

玄関はすりガラスなんだけど、写っている影が明らかに太った大人の女。髪の毛がボサついた感じ。

雨の日のこの時間には大体来るらしかった。

私はこの女に何かされたわけでもないのに、心底嫌いで堪らなかった。

A家両親は共働きで夕方以降に帰って来るから遭遇率は低い。

72 :代理投稿 ◆ztxSLaq9Ok :2012/08/18(土) 22:32:37.28 ID:HvFrBJMW0
「昨日お父さんが酔ってて、あいつ来た時玄関開けちゃったの」と学校で聞かされた時は本当に気の毒に思った。

「で、どうなったの?」
「中に入ってきて大変だったよ」
それはそれは本当に大変だろうなとナチュラルに思っていた。
あの女は一体何者だったのか良くわからないけど、中に入ってきて、どう大変だったのか今更ながら気になっている。

ちなみにA姉弟とはもう疎遠になっています。

【了】