第47話「送り行列」  百物語2012本編

語り:ななほし ◆5JfBuh0hdc
162 :代理投稿 ◆nqnJikEPbM.8 :2012/08/19(日) 01:05:19.83 ID:jvZ3IDbu0
ななほし ◆5JfBuh0hdc 様 『送り行列』

僕の母方の祖母の話です。良くある話かも知れませんが、祖母がまだ子供の頃、戦時中のこと。
この祖母の家というのが、田舎によくありがちな、車がサイドミラーをたたんでギリギリ通れる位の細い路地の中へ入って少し進んだところにあります。
ある日の昼間、祖母が庭で作業をしていると、沢山の人の足音が。
ふと前の通りを見ると、兵隊さんの行列が行進していました。
驚いた祖母は、自分の親(つまり僕の曾祖父母)に「兵隊さんが行進してる!」と言いました。
しかし、通りを見て一言「誰もいないじゃないか」
確かに祖母に見えている兵隊さんの行列が、曾祖父母には見えていなかったのです。
不思議に思った直後、知らせが来ました。
近所の方が戦地で亡くなられたそうです。
兵隊さんたちは、きっと近所の方の魂を故郷に連れ帰ってきてくださったのでしょう。

(終)