第55話「深夜のトイレ」  百物語2012本編

語り:ネヴィル ◆5SharF2siA
186 :ネヴィル ◆5SharF2siA :2012/08/19(日) 01:41:38.97 ID:un+tZOSO0
『深夜のトイレ』

今から二年ほど前の事。
当時私は仕事でお客さんの所に行ってました。
ちょうど忙しさがピークで夜遅くまでやっていた時の事。
急にお腹が痛くなったので、トイレに行きました。
そこのトイレはそれなりに人数がいる会社のためか大きく、個室も6つありました。
夜遅くで残っている人も少ないため、当然トイレには誰もいません。
貸し切り状態だな、などと考えながら私は一番奥の個室に入りました。
買ったばかりのiPhoneをいじりながら用を足し、10分ほどで個室を出ると、個室はなぜか全てドアがしまっていました。
私が個室に入っていた間に人が来たような音はしていません。
嫌な予感が私の中を駆け巡り、こりゃやばいかな~などと思いながら手を洗っていると突然、

バタン!

という大きな音と共に全てのドアが勢いよく開いたのが鏡越しに見えました。
私は驚き、誰かいたのかなど確認する暇もなくトイレを飛び出しました。

戻ってから一緒に作業をしていたお客さんに話をすると、そのトイレでは今までもおかしな現象が何回も起こっていたそうです。
トイレに何かあったのか、それとも土地に何かあったのか、今となっては確認はできませんが、その会社は今でも当時のままその場所にあります。