第62話「逆夢」  百物語2012本編

語り:憂莉 ◆BPe4rMCg8k
208 :代理投稿 ◆nqnJikEPbM.8 :2012/08/19(日) 02:33:42.41 ID:jvZ3IDbu0
憂莉 ◆BPe4rMCg8k 様 『逆夢』

俺は子供のころからあまり夢を見ない。
たまに見る夢も断片的にしか覚えていないものばかりなのだが、ごくごく稀にはっきりと夢の内容を覚えていることがある。
そういう時はだいたい逆夢なのだ。
例えばいい夢を見れば悪いことが起きる、告白される夢を見た数日後に彼女にふられたこともあるし、財布を拾う夢を見た数日後に財布を落としたことがある。
そしてもちろん悪い夢を見れば良いことが起きる、この話もそういうものだ。
数年前、久しぶりに夢を見た。
夢の中で俺は女友達にメールを送っていた。
メールの内容はよく覚えていないが、「久しぶり、元気してるか?」のような当たり障りの無い内容だったと思う。
しばらくしてメールの返事がきた。
「女友達は亡くなりました。」
本文にはそれだけ。
場面が飛んで葬式。
女友達が住んでいるのはかなり遠方なのだが、新幹線にでも乗って向かったようだ。
どうやら葬式はもう終わり、共通の友人と喋っている。
飲みにでも行かないかと誘われたが、明日も仕事だからと断った。
そこで目が覚めた。
あいつに何かあったのかなと気にはなったが、仕事だなんだと忙しく連絡する暇が無いので確認できずにいた。
数日後、女友達からメールがきた。
「子供ができました。」、と。
終わり。