第64話「修学旅行の例外」  百物語2012本編

語り:猫様がみてる ◆UiIW3kGSB
215 :代理投稿 ◆nqnJikEPbM.8 :2012/08/19(日) 02:45:10.62 ID:jvZ3IDbu0
猫様がみてる ◆UiIW3kGSB 様 『修学旅行の例外』

これは私が高校生の頃の話です。
私の学校の修学旅行は毎年沖縄に行っています。
ただ最近は海外にしようという話が出ては立ち消えているようですが…
というのもこの修学旅行毎年何かトラブルが起きているのです、私達の一つ上の代から…

沖縄に行くのは戦争について学ぶ為、中学と比べると自由に行動出来る時間はありましたが、
戦争に関連する場所や資料館は全員で参加し、抜けることは許されません。
が、私達の代から一か所だけどうしても無理なら行かなくてもいい場所が出来ました。
それがガマです。

私達の上の代は皆強制参加でガマに入っています。
そして電気を消して本当の暗闇を体験する時間に女子テニス部の先輩が急にうずくまってしまったそうです。
取敢えずみんな懐中電灯をつけて引率で一緒にいた先生がその先輩を連れて先に出たそうです。
足取りも覚束ない様子でふらふらしながらもガマの外へ。太陽の下で改めて先輩の様子をうかがおうとした先生は
彼女の足に人の手が何かを掴んだかのような痣があるのを見たそうです。
ガイドの人たちに連れられて他の先輩方が出てきた時にはもう先輩はいつもと変わらない様子に戻っていたようです。
足の痣を除いては…
テニス部の友人がその先輩から様子を聞いた時には「上る時に岩かなんかに足ぶつけちゃったのかも」とおどけた様子で話してくれたみたいですが


その時に携帯で撮った写真にははっきりと人の手だとわかるようなアザが写っていたみたいです。

私のクラスにも1人、足がすくんでバスから降りれない子がいました。
道のない山を下りるように木の幹や岩に足場を見つけ下に降りて行かなければいけない場所で、
小雨が降り2月なので肌寒く、土もぬかるんでいてガマの中は硫黄よりも嫌な臭いがこもっていました。正直もう行きたくないです。
地盤が緩んでいて奥に行けず回収が進まない御遺骨が一刻も早く太陽の光を浴びることを祈りながらこの話を終わりにしたいと思います。
(終わり)