第32話「もしもしさん」  百物語2012本編

語り:秋鳥 ◆X0TyCi.5oo
105 :代理投稿 ◆ztxSLaq9Ok :2012/08/18(土) 23:05:00.51 ID:YriqamUu0
秋鳥 ◆X0TyCi.5oo 『もしもしさん』
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最近携帯持ってない人ってあまり見ないよね。
怪談話なんて10年くらい前までは、
物音が聞こえるとか人影が見えるとか直接出てくるとかそういうのが多かった。
携帯が普及し始めて、霊も携帯に対応してきてるみたいで、
この話も、そういう携帯怪談のうちの1つ。


去年、部屋の掃除をしてたら、
昔私と姉が使って遊んでた、子供用のおもちゃの携帯が出てきた。
それは、ボタンを押すともしもし、とか電話の音が鳴るよくあるおもちゃなんだけど、
当然のようにもう使わないから親戚の子供にあげた。

それで、しばらくしてその親戚の子にあったときに、ちょうどその子がその携帯のおもちゃで遊んでいた。
ああ、ちゃんとそれで遊んでくれてるんだな、と思って眺めてたら、その子が携帯に向かって話しかけてた。
電話ごっこしてるんだろうけど、何を話しているのか気になって、近寄ってその子に
誰と話してるの?って聞いてみたら、

106 :代理投稿 ◆ztxSLaq9Ok :2012/08/18(土) 23:05:31.57 ID:YriqamUu0
(2/2)

「もしもしさんだよ」

ああ、電話だからもしもしか、可愛いなと思った。
またしばらくしてから見てみると、携帯を耳に当てながら絵をかいてた。
何書いてるの、と絵を後ろから覗き込んでみたら、

「もしもしさんだよ」


赤いクレヨンで顔をグシャグシャに塗りつぶされた、女の人らしき絵がかかれていた。
その絵は、親戚の子のお母さんがすぐに捨ててしまったが、
その子はまだ携帯のおもちゃで遊んでいる。


もしもしさんって誰だろう。


おわり